日本の港から海外へコンテナ輸送する際、気になるのが料金ですよね。
そこでこの記事では、
- 料金の相場
- 料金に影響する要因
- 割増料金(サーチャージ)
などについて解説します。
「海外へコンテナ輸送するときにはいくらくらいかかるのだろう?」「比較検討する際の目安が知りたい」という方は、ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。
海外へのコンテナ輸送料金の相場は?
「見積もりを取る前に海外へコンテナ輸送する際の料金をざっくり知りたい」という場合には、以下の2つの方法があります。
コンテナ船の輸送料金は、社会情勢やエネルギー価格などの影響を受けます。まずはおおまかな相場料金をこの2サイトで確かめてみましょう。
それぞれのサイトについて解説しますね。
1.JETRO「投資関連コスト比較調査」で調べる
JETRO(ジェトロ)とは「日本貿易振興機構」のことです。
JETROが行った「投資関連コスト比較調査」では、世界の約60カ国100都市の投資コストを確認することができます。
調査レポートの都市名を選ぶと、真ん中あたりに「ファイルをダウンロード」というところがあります。そこをクリックするとExcelデータをダウンロードすることができます。
ダウンロードしたExcelを開いたら、下に並ぶ知りたい国名をクリック。開いたシートには「輸送費」の項目があるので、そこから確認できますよ。
コンテナ輸送の料金は「対日輸出」「第三国輸出」「対日輸入」の3つに分かれて表示されています。
Excelデータなので、各都市の比較表を簡単に作成できるのもメリットです。
2.FREIGHTOS「Freight Calculator」で調べる
Freight Calculatorは香港のFREIGHTOSが運営する輸送料金の見積もり比較サイトです。
英文サイトを見慣れていない人にとって少しハードルが高いかもしれないので、Google chromeなどを使ってページ翻訳をするのも一つの手ですよ。
Freight Calculatoは海上輸送と航空便、双方の輸送料金を比較できるのが特徴。利用するにはe-mailアドレスとパスワードの入力が必要となります。
海上輸送の場合は、
- 出発港(origin port)と到着港(Destination Port)を入力
- コンテナ輸送する品目を選ぶ
- 商品価値(Commodity Value)を入力
これだけで、輸送料金の相場が表示されます。
コンテナ輸送料金に最も大きく影響する要因とは?
日本海事センターが2022年8月に発表した「北米航路月別運賃の推移」によると、海上運賃は新型コロナの影響が深刻化した2020年ごろから上昇し、2021年には前年比の2倍に高騰。2022年も依然として高止まりが続いています。
社会情勢などに影響を受けやすいコンテナ輸送料金ですが、最も大きく影響する要因が存在します。
それは「定期的に大きなスペースでたくさんの物量を扱っているかどうか」という点です。
物流の世界では、
- 小さい物量のスポット(随意契約)運賃は高くなる
- 大きな物量で定期的に貨物を輸送すればするほど運賃は低くなる
という傾向にあります。
コンテナ輸送料金も同様で、定期的に大きなスペースでコンテナ輸送を行う業者に対しては、輸送料金が安くなるのです。
コンテナ輸送料金の内訳を見てみると、どの部分が影響を受けて変動しているかが分かりますよ。
コンテナ船の海上運賃
コンテナ船の海上運賃は「タリフ」と呼ばれます。
海上運賃は「基本運賃」と「割増運賃(サーチャージ)」で構成されています。
品目ごとに重量や容積当たりの基本運賃(ベースレート)が定められており、そこに割増運賃が上乗せされる形となっています。
基本運賃
基本運賃には「品目別運賃」と「品目無差別運賃」があります。
品目別運賃は、荷姿や材質などといった、貨物の特性によって品目別に料金が設定されています。
一方の品目無差別運賃は、貨物の品目や容積などにかかわらず、コンテナ1個当たりで設定されています。
割増運賃(サーチャージ)
サーチャージと呼ばれる割増運賃にはコンテナ輸送独自のものも。
その独自の割増料金について、次の章で代表的なものを紹介します。
輸出地によって加算される独自の割増料金(サーチャージ)とは?
輸出地によって加算される独自の割増料金(サーチャージ)は、「燃料高騰に関連するもの」「為替レートの変動によって変わるもの」「コンテナの積み下ろしや仕分け作業に関係するもの」などさまざまです。
ここでは、
- 燃料に対する割増料金
- 為替変動に対する割増料金
- 特定の時期に対する割増料金
- その他
について解説します。
1.燃料に対する割増料金
燃料に対する割増料金には、以下のものがあります。
BAF(Bunker Adjustment Factor:燃料費調整係数)
燃料の価格変動に連動して調整されるサーチャージがBAFです。
一般的に、トンもしくはコンテナ当たりで価格が決められています。
FAF(Fuel Adjustment Factor:燃料割増料率)
燃料の価格変動が生じた場合、その一部を荷主に負担してもらうサーチャージのことです。
BAFと基本的には同じ内容ですが、航路によって名称が変わっています。
EBS(Emergency Bunker Surcharge:緊急燃料費割増料金)
ここ最近の原油価格の高騰に伴い、従来のBAFとは別に、燃料費がかさむリスクを荷主に負担してもらうサーチャージです。
BAFやFAFのいずれか一方と、EBSを二重に課徴する航路もあります。
2.為替変動に対する割増料金
為替変動に対する割増料金には、以下のものがあります。
CAF(Currency Adjustment Factor:通貨変動調整係数)
為替レートの変動に合わせて調整されるサーチャージがCAFです。
基本運賃に対する割合で価格が決められています。
YAS(Yen Application surcharge:円高損失補填料金)
東南アジア航路などで、日本円の高騰に応じて課徴するサーチャージが適用されています。
最近の世界情勢により、新しいサーチャージの適用もあります。アライバルノーティス(貨物到着通知)の発行元に「どういう内容のサーチャージであるか」を確かめた上で、税関に加算が必要か否かを問い合わせておくのがおすすめですよ。
3.特定の時期に対する割増料金
特定の時期に対する割増料金には、以下のものがあります。
PCS(Port Congestion Surcharge:船混み割増料金)
特定の港において、荷役中の船が混雑し、滞船が長引いた場合に発生するサーチャージです。
PSS(Peak Season Surcharge:ピークシーズン割増料金)
クリスマスなど、季節的に貨物が急増する時期に加算されるサーチャージがPSSです。
期間や金額がよく変わり、分かりにくいのが特徴です。
4.その他
保税地域でのコンテナ輸送にかかわる追加料金も、割増料金の一種としてサーチャージと呼ばれることもあります。
- THC(Terminal Handling Charge):コンテナの取扱費用
- CHC(Container Handling Charge):コンテナの取扱費用
- CFS(Container Freight Station Charge):混載貨物の仕分け費用
割増料金(サーチャージ)の種類について説明
割増料金の中には、航路や地域によって加算される独自のサーチャージがあります。
中国向けの個人輸出ビジネスを始めたばかリの人、北米向けのECサイトに出店を検討している人などは、割増料金について必ず頭に入れておきましょう。
アジア独自のサーチャージ
アジア独自のサーチャージには以下のものがあります。
中国航路独自のサーチャージ
- SPS(上海港を使用する際にかかる割増料金)
- CRC(香港からアジア域内への輸送運賃にかかる割増料金)
- CRS(日本から中国向けの輸送にかかる割増料金)
- DCF(書類作成する際の費用)
- System Charge(中国からの輸入貨物にかかる割増料金)
システムチャージは中国発の輸送でよく発生します。
これは、輸出者から払ってもらえなかった費用を着地側で徴収することが目的。
そのため、輸出者側に支払いを頼むことで不要となることもあります。
台湾独自のサーチャージ
- KAC(基隆港からの輸出貨物にかかる割増料金)
韓国独自のサーチャージ
- CNTR TAX(韓国から輸出するコンテナにかかる税金)
- Wharfage(韓国から輸出する貨物にかかる埠頭使用料)
大阪独自のサーチャージ
- 搬出料
大阪港への貨物限定で発生するサーチャージです。荷物を搬出する手間賃のようなイメージで、1件当たり、1,200~1,300円が徴収されます。
北米独自のサーチャージ
- SPSC(北米に向けた輸送の際、海上運賃に適用される夏季限定の割増料金)
- AMS(北米とEUに向けた船積みに適用される。24時間ルール対応の手続きにかかる割増料金)
北米航路のコンテナ船が、運河を通るときに発生するサーチャージもあります。
- STF(スエズ運河を通過する通行料)
- PCS(パナマ運河を通る際の通行料)
まとめ
海外へコンテナ輸送する際と運賃の仕組みについて解説しました。
海外へのコンテナ輸送料金の相場は、
の2サイトで調べることができます。
運賃は「基本運賃」と「割増運賃(サーチャージ)」から構成されており、割増運賃には様々なものがあることもご紹介しました。
国内輸送のように単純な料金形態ではないので、あれこれややこしかったですよね。
コンテナ輸送費を知りたいのであれば、できれば見積もりを取るのが確実ですよ!
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